売上げの60%を占める海外の仕入れ先より合併の申し入れを受けたとき、身売りか、大幅縮小して生き残るか、──これまで積み重ねてきた努力のすべてが無に帰してしまう、もう駄目か、と絶望的な気持ちに襲われ苦しみました。
その時、先輩から助言を頂き、高橋先生から学んできたことを振り返ってみたのです。そして、「人間の力こそが、最大の力である。このハイテクの日本で販売を伸ばすために最も大切なことは、高い交渉力を発揮できる人材を育成することにある」と確信しました。私はすぐ渡米し、相手に、「今、必要なことは、最高の人間を育てる最高の経営です。その経営を実践してきた私たちに任せてみないか」と率直に伝えました。すると首脳陣はこの話に納得し、意外にも、合併話を取り下げてくれたのです。
この出来事は、「資本の力には勝てない」という私の思い込みを払拭し、人を育むことができる企業こそが、真に力のある企業であり、世界の企業も、実はそのような経営ができることを切望しているのだと痛感しました。